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Coffee Ceremony

大地の恵みと火、水、空気そして心身が一緒に働いて淹れる一杯のコーヒー。心を映すお茶碗としてオリジナル制作したコスモ椀とウォーターコンダクター(水引き)で淹れる新しいコーヒー作法です。

京都比叡山の中腹に8年間ほどアトリエを構えていた頃の事です。千利休が始めた日本的な茶道のお道具として知られる楽茶碗の陶芸家の家系の四代目一入の黒茶碗を手にする機会があり、瞬時に自分の身体と黒茶碗とが区別が出来ない一体感に満たされ驚く経験をしました。「見るものではなく寄る」との利休の言葉の一端にふれた様に感じ、地元の茶道教室に出入りしたり、この自分の経験は何なのかを追い求め始めましたが教えてもらう事の中からはなかなか実感が持てず、独自に調べて行く内に更なる疑問が立ち現れました。それは日本的な茶道の始祖である利休が活躍したのは戦国時代で乱世の真最中にあり、その立役者となったのは戦国武将であった事。その多くの武将が領地以上に、時には自分の生命の危機よりも茶道道具を大事にしたのは何故か。利休切腹の事件はよく知られている事ですが、利休の精神性を最も強く継承した一番弟子の古田織部が茶道を全国的に広めた功績がありながらやはり不運の死を受けることとなり幕府によって織部焼は禁止されことごとく破壊された背景。戦国武将達が利休の弟子たちであったのにその後の茶道は利休の設計に基づいてお茶碗を受注製作した窯元の家を中心に展開したこと。これらの歴史的疑問に光を与える手がかりは断片的な書簡や比叡山という土地に残る時間を超えた文化の息吹きが与えてくれるインスピレーションにありました。
特に注目したのは天下統一の基礎を築いた織田信長の言動にあります。「人は嘘をつくがお茶碗は嘘をつかない」と言い対立する朝廷や敵国の使者が来るとまず茶会を開いて相手の振る舞いから真意を見抜いたと言います。また戦場の会議の前にも茶会を開いて言動のおかしい家来は逆臣の疑いありとして戦略会議に参加させなかったとも言われます。そして茶会の席ではい つ斬
り合いが始まっても良いように片足を立てて備えていたそうです。また、古田織部は戦場では大変臆病であったと汚名を残していますがたまたま撤退の途中で茶道を作るのに適した竹林を見つけると躊躇せずに敵陣に一人潜入して見事な枝ぶりの竹を取って帰ってきたと言います。別の戦国大名は戦勝の取り分として領地ではなく茶道具を求めています。不思議なことにお茶碗やお道具の逸話はたくさん残されていても、肝心なお茶の味を決めるお茶葉のクオリティについてのこだわりはほとんど見受けられません。これらの断片から見えてきたビジョンは、現代人が考えるお稽古事からは想像出来ない生命をかけた戦いの日々にあって、何が嘘で何が謀であるか、または大将である自分の運勢が戦いで勝てる状態にあるかどうかを知る神秘的で真摯なセレモニーの時空間です。茶道は、大名の間で美食の会として茶会が開催されたり、お茶文化の源流である禅と結びついた作法などなど様々な方向に展開していきましたが、今は忘れ去られた黎明期に浮かび上がる姿は、お茶碗を毎日が死と隣り合わせの乱世を生き抜くためのサバイバルツールとしていたことです。この発想から現代社会を生き抜く我々の日々に役にたつ新しい作法の構想が生まれました。それは手に持った時に自分の生命と一体となるお茶碗を開発し、抹茶に限らずコーヒーや紅茶など様々な飲み物に対応する事。そして簡単な作法で日々の心身の状態を鏡の様に写しだすセレモニーを工夫する事です。最もハードルが高いのはかつての名器の様な働きのあるお茶碗の開発で、そのためにできる限り多くのお茶碗を試し、生命感覚に馴染み一体化する素材、釉薬、形を試行錯誤する必要がありました。この HPMusic Productionのページに解説している音の機能性の研究とサウンドウォーター製造装置の開発を継続して行なってきましたので、お茶碗の材料となる粘土と独自のサウンドテクノロジーとの組み合わせを検証して伝統的な黒と織部の2種類のお茶碗がまず出来上がりました。
京都市内の中心部に知人が古い町屋で外国人観光客のコンシエルジュを営んでいたので、様々な人種、国籍の方を相手にしてこのお茶碗で自分の生命のメッセージに耳を傾ける会を開き、意識の覚醒作用があるコーヒーで始めたのがコーヒーセレモニーです。世界中で飲まれているコーヒーの時間が自己の内面と対話する豊なひと時となることを願って紹介させて頂きます。

コスモ椀

身体はたえず空気、水、食物を体内に取り入れます。今まで自分の外にあったものと融合することを繰り返し新しくなっていく働きです。一杯のコーヒーには自然や宇宙の原理が働いていますので人間社会の狭いルールに縛られている心に、広大な生命空間、エネルギーを思い出させる働きがあり、大切なことを浮かび上がらせてくれます。コスモ椀を両手で持つと自然に惑星を抱くようなスタイルになり、竹の御道具は誰でも簡単に心の向くままにお湯を落とすことを助けます。

基本作用

垂直なポジションと姿勢

ポジション:椅子に座っても立っていても可。正座に慣れている方は腰が伸びるので試してみてください。立つ場合には足幅は自然と開いて肩幅程度に。右足と左足は平行に。
イメージとしてはリラックスして前後左右のバランスが調和している状態です。
お好みに応じてドリップコーヒーないしお茶をセットして下さい。
 
お湯の汲み方:釜があれば理想的ですがポットのお湯を器に移して柄杓で三分の一程度以下に汲んで下さい。お湯を柄杓に入れすぎると後の動作がやりにくくなります。  
 

コーヒーかお茶のセット

お湯の注ぎ方:右左を交互に行います。水引きに柄杓をくっつけてゆっくりお湯を注いで下さい。水引きを通じて自分の生命エネルギーが器と交流し注ぎ込まれるイメージで行って下さい。
右と左を変えて行う動作を3回程度繰り返してお湯を注ぎます。
 
淹れ終わったら両手でコスモ椀を持ってゆっくりエネルギーをわ味わうようにいただいて下さい。飲んだ時に浮かんだイメージや感覚を言葉にするように心がけ、慣れてくると、今日の心身の状態の何らかのメッセージを受け取れるようになります。
 
出来ればパートナーの方と一緒に行ってお互いのその日の一服の印象を語り合って下さい。単純な作法ですが大宇宙の理、生目を構成する水、火、空気、大地の恵みの器が織りなすエネルギーとの交流を一日一回一杯のコーヒーを淹れる時間が生命本来の感覚を取り戻す大事な習慣となることを願います。
グループ講習会なども開催しており、様々な工夫や作法のポイントがありますので更なるご興味がある方は問い合わせフォームよりコーヒーセレモニーについてと明記してご連絡いただければ対応させていただきます。